本庄市本町の山車について

 

 

 

◆本町の山車の変遷

(「関羽」→1895年「翁」→1930年「石橋(しゃっきょう)」)

 

 

 

本町は、明治初期より「関羽」山車があると伝えられていました。

柴崎起三雄著『本庄のむかし』によると、購入時期は不明であるが様々な資料を検討すると、明治6年(1873年)に「関羽」を購入したのではないかと推測されています。

 

その後、明治28年(1895年)、日清戦争の凱旋祝賀会が行われたとき、人形を「翁」に替えました。

 

さらに、昭和3年(1928年)、昭和天皇の「御大典」祝いに人形を現在の「石橋(しゃっきょう)」に替えました。

(平成16年~19年にかけて能装束研究家・山口 憲先生によって、能「石橋」に合わせて、人形装束と幕類が新調されました。) 

 

 

 

◆能装束研究家・山口 憲先生の作品

 

 

 

 

 

 

本町の山車は、平成16年~19年(2004年~2007年)能装束研究家・山口 憲先生によって、能「石橋」に合わせて人形装束と胴幕を新調していただきました。山口 憲先生は、「国宝修復」「外務大臣表彰」などを有する日本における能装束研究の権威です。本町の山車は、後世に残る最高峰の作品だと思います。

 

 

 

 

 


◆本町の山車の新調・補修の歴史

 

 

埼玉県本庄市本町の山車の新調と修理の歴史の画像

 

 

 

 

山口能装束研究所前にて(滋賀県)
山口能装束研究所前にて(滋賀県)

 

 

 

人形の腕開閉のからくり装置
人形の腕開閉のからくり装置

 

 

新井竹細工工房(秩父市)
新井竹細工工房(秩父市)

 

 

 

 

 

 

 

◆修復に携わった名匠たち

(「山車人形 石橋 修復記念誌」本町自治会より)

 

 

 

山口 憲氏の画像

 

 

 

田島 祐幸氏の画像

 

 

 

竹川 繁一氏の画像

 

 

 

戸部 征三氏の画像

 

 

 


新井 武夫氏の画像

 

 

 

丸橋 舜 氏の画像

 

 

 

小川 博久氏の画像

 

 

 


■人形胴殻仕上げ協力者■

 

 

「人形胴殻和紙表具」…山崎 智也様(本庄市本町)

 

「人形胴殻漆加工」…斉藤漆工芸様(神奈川県箱根町)

 

 

 

 

 

 


 

 

◆山口 憲先生のメッセージ

 

 

 

「最上段には文殊菩薩の浄土にいる獅子の雄壮な姿があります。

 

装束の文様は稲妻に丸龍・雲気・唐草等全て万物創造の元である気の思想に基づき、人間にとって欠く事の出来ない自然界と神々の世界を具象化しています。

 

稲妻は自然界の大いなる力で、特に農耕に欠く事の出来ない水を呼ぶ象徴であり、雲気も天の恵みをもたらすものです。

これらは文武両道の修行をし、心を養った武家の研ぎ澄まされた精神性が華やかに活きています。

 

『いざいざ花を眺めん。いざいざ花を眺めん。』と仰ぎ見る峨々たる巌の上に牡丹が咲き乱れる中、獅子が舞い遊ぶ極楽浄土の世界を存分にお楽しみいただく事を願って居ります。

 

 

『いざいざ花を眺めん石橋』(本町自治会山車胴幕新調記念写真集)より

 

 

 

 


◆「石橋」について

 

 

 

「石橋」(しゃっきょう)は、能の演目です。

 

 

 

「主人公は大江定基が出家した後の姿である「寂昭法師」。寂照は中国山西省の清涼山(せいりょうざん)にやって来ました。そこで、有名な石橋を渡ろうとしていたところ、童子が現れます。

童子がいうには、「橋の向こうは、文殊菩薩の住む浄土であり、並みの修行をしたものでは渡れない。菩薩の迎えがあるまでしばらく待つように教えられる。

 

 

しばらく待つと、文殊菩薩の化身である獅子が現れ、紅白の牡丹に戯れ華麗な獅子舞を舞って、寂昭を菩薩の浄土へと導く。」

 

 

 

本町の山車の胴幕には「牡丹」の花と「獅子」が描かれています。

山口先生の制作された胴幕は、「石橋」のストーリーにそって胴幕を制作された奥深い作品であることがわかります。

 

 

 

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※「石橋」は一日の催し物をしめくくる、祝福の能です。 

※「石橋」は歌舞伎にも取り入られ、「石橋物」と呼ばれます。石橋物の中には、「連獅子(れんじし)」があり、連獅子には、赤獅子(子)と白獅子(親)が登場します。昭和55年(1980年)本町より分町独立した南本町の人形は、「連獅子」で、赤い髪の色(子)をしているのに対して、本町の人形は白い髪の色(親)をしています。

南本町の山車「連獅子」をとおして、本町と南本町の関係性をうかがい知ることもできます。 

 

 

 

「石橋(観世)」(「能の世界」平凡社より)
「石橋(観世)」(「能の世界」平凡社より)

 

 

清涼山(五台山)文殊菩薩の聖地。2009年世界遺産登録(世界遺産オンラインガイドより)
清涼山(五台山)文殊菩薩の聖地。2009年世界遺産登録(世界遺産オンラインガイドより)

 

 

獅子に乗り、4人の従者を連れている文殊菩薩( 京都醍醐寺蔵「諸文殊圖像」より)
獅子に乗り、4人の従者を連れている文殊菩薩( 京都醍醐寺蔵「諸文殊圖像」より)

 

 

 

能「石橋」のダイジェスト版(日本通TV様作成)

 

 

 


 

 

◆本町の山車「石橋」

 

 

 

 

■人形

 

 

 

 

 


獅子の化身である「石橋」の主人公は「厚板・鱗に唐草華紋文様」の装束に身を包んでいます。

 

 

 

 

■水引幕

 

 

 

水引幕には「丸龍」が描かれている
水引幕には「丸龍」が描かれている

 

 

 

 

 

「丸龍」(右上)と、白や朱や金の雲
「丸龍」(右上)と、白や朱や金の雲

 

 

 

※「丸龍」について

(「法被・稲妻に丸龍文様 白地」の中での丸龍)

 

 

 

「山車人形 石橋 修復記念誌」本町自治会より
「山車人形 石橋 修復記念誌」本町自治会より
「法被・稲妻に丸龍文様 白地」
「法被・稲妻に丸龍文様 白地」

 

 

 

 

■囃子座(はやしざ)

 

 

囃子座
囃子座

 

 

「繍 鏡板 老松文様 金茶地」力強くて太い松が描かれています
「繍 鏡板 老松文様 金茶地」力強くて太い松が描かれています

 

 

 

 

■胴幕

【胴幕(台座上段)】

 

 

(正面)

 

 


台座上段の 正面の胴幕は、「緑・白・赤・黄・紫」5色の揚幕と、地模様に「牡丹の花」が飾られています。

山口先生は、5色の揚幕について次のように述べています。

「日本には中国から学んだ「五色の繒(きぬ)」の思想があり、陰陽五行説とは異なるものです。五色の絹を大きな石の上にかければ求める事が必ず叶えられると昔から信じられて居り、日本の古い神社では神殿に五色の絹が揚げられ、今日までもその信仰が生きています。」(本町自治会山車胴幕新調記念写真集『いざいざ花を眺めん石橋』より)

 

 

 

 

(正面から向かって左右)

台座上段の向かって左と右には「牡丹の花」
台座上段の向かって左と右には「牡丹の花」

 

 


 

 

 

 

 

(背後)

最上段の背後には、文殊菩薩の浄土にいる獅子の姿
最上段の背後には、文殊菩薩の浄土にいる獅子の姿

 

 

金色(こんじき)の空間に「金と銀の2頭の獅子」
金色(こんじき)の空間に「金と銀の2頭の獅子」

 

 

 

 

 

【胴幕(台座下段)】

 

 

台座下段の胴幕では、正面以外の山車の三方に様々な「聖獣神鳥」が配されています
台座下段の胴幕では、正面以外の山車の三方に様々な「聖獣神鳥」が配されています

 

 

 

 

 

 

 

 


聖獣神鳥(「鳳凰」「龍」「亀」「獅子」「麒麟」)を三方に配することで、あらゆる禍から山車と山車に関わる人たちのことを守ろうとしてくれています。

 

 

 

 

■腰幕

 

 

「稲妻模様」の胴幕
「稲妻模様」の胴幕

 

 


 

 

山口先生は次のように述べています。「稲妻と釘抜の文様には、自然界の力と人々の痛みを和らげあらゆる苦悩を取り除く願いが込められて居ります」

 

 

 

 

 

■木札

 

 

 

胴幕新調を記念して作られた木札(山車後部)
胴幕新調を記念して作られた木札(山車後部)

 

 

 

山車の後部には、山口先生に新調していただいた胴幕を記念して墨書で作られた木札があり、以下のように記されています。

 

 

 

「石橋人形装束新調 平成十六年九月吉日製作

飾り幕新調 胴幕八張・水引幕一張・腰幕一張

特打五毛金箔製造協力 金沢市株式会社今井金箔

平成十九年九月吉日製作

山口能装束研究所長

浅井能楽資料館長 山口 憲」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

胴幕類の写真は、本町自治会山車胴幕新調記念写真集『いざいざ花を眺めん石橋』より抜粋させていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

■本庄祭りの動画(2012年)

(憲ちゃんもみたかったイベント012「本庄市・本庄祭り」より)

冒頭で、本町の人形装束と胴幕を山口先生に制作していただいた様子が語られている(冒頭の語り 戸谷全克 2012年)

 

 

 

 

 

 


 

 

 

◆令和の改元奉祝

 

 

 

令和元年(2019年)5月1日、本庄市役所駐車場にて、新天皇陛下の即位と新しい時代の始まりを共に祝う目的で「平成から令和へ 改元奉祝(かいげんほうしゅく)の集い」が開催されました。

記念イベントでは、本庄祭りの山車10基とこだま夏祭りの喧嘩御輿4基が集結しました。御輿の組み合いの後、10基の山車の巡行が行われました。

 

 


      

本庄祭りの山車
本庄祭りの山車
※改元奉祝の集いでの本町の人形は「翁」でした。「翁」は別格の祝言能で、新年や舞台開きなど祝賀の機会に演じられます。
※改元奉祝の集いでの本町の人形は「翁」でした。「翁」は別格の祝言能で、新年や舞台開きなど祝賀の機会に演じられます。

 

 

こだま夏祭りの「喧嘩神輿」
こだま夏祭りの「喧嘩神輿」

 

 

 

令和の改元奉祝で、町中は大変賑わっていました
令和の改元奉祝で、町中は大変賑わっていました