※戸谷八商店は「本町」自治会(一支会)に所属しています。
(「関羽(かんう)」→1895年「翁(おきな)」→1930年「石橋(しゃっきょう)」)
本町は、明治初期より「関羽(かんう)」山車があると伝えられていました。
柴崎起三雄著『本庄のむかし』によると、購入時期は不明であるが様々な資料を検討すると、明治6年(1873年)に「関羽」を購入したのではないかと推測されています。
その後、明治28年(1895年)、日清戦争の凱旋祝賀会が行われたとき、人形を「翁(おきな)」に替えました。
さらに、昭和3年(1928年)、昭和天皇の「御大典」祝いに人形を現在の「石橋(しゃっきょう)」に替えました。
(平成16年~19年にかけて能装束研究家・山口 憲先生によって、能「石橋」に合わせて、人形装束と幕類が新調されました。)
本町の山車は、平成16年~19年(2004年~2007年)能装束研究家・山口 憲先生によって、能「石橋」に合わせて人形装束と胴幕を新調していただきました。山口 憲先生は、「国宝修復」「外務大臣表彰」などを有する日本における能装束研究の大功労者です。
山口能装束研究所前にて(滋賀県)
人形の腕開閉のからくり装置
新井竹細工工房(秩父市)
(『山車人形 石橋 修復記念誌』本町自治会より)
山口 憲氏
【人形装束製作】
1948年生。京都市左京区。
85年山口能装束研究所設立。
72~89年江戸期能装束1,000領調査研究。93年中尊寺所蔵能装束復原。
94年桃山・江戸期能装束1300領復原。93年~国内「華麗なる能装束」展。ヨーロッパ・アメリカほか国外巡回展。2004年外務大臣表彰。
田島 祐幸氏
【人形頭・手足修復】
1953年生。前橋市本町。人形店「島久」3代目職人。桐塑・胡粉技法(と
うそ・ごふんぎほう)を用いた、手作りによる雛人形製作を伝える日本でも数少ない人形師。群馬県ふるさと伝統工芸士。
NHKテレビ・群馬テレビ等でも紹介。
竹川 繁一氏
【白頭製作】
1952年生。京都市山科区。
京都を代表する髪師。髪師の父、赭熊(しゃぐま)製作を専門とする母を師とし、能楽・歌舞伎などの髪類を製作。伝統技法を継承し、赭熊(しゃぐま)製作が可能な、京都で唯一の技能保有者。
戸部 征三氏
【人形骨組製作】
1942年生。埼玉県寄居町。宮大工「社寺建築戸部」。皇居半蔵門・坂下門等改修。柴又帝釈天改修工事責任者。ものつくり大学建築技能工芸家講師。2002年優秀施工者国土交通大臣表彰。本町・台山車修復ほか。寄居町神輿製作。
新井 武夫氏
【人形胴殻製作】
1936年生。秩父市久那。号を竹仙。中島栄蔵に師事し、後に家業新井竹細工店を継承。埼玉県物産振興県知事表彰を受け、竹工芸技能士資格取得。
全日本竹製品振興組合技術指導員に任命され、90年常陸宮殿下御前実演を行う。
丸橋 舜氏
【人形からくり製作】
1943年生。本庄市本町。機械設計加工会社勤務後に会社設立。工業用口ボット等製作。68年本町囃子(はやし)保存会・石橋(しゃっきょう)会会長に就任。祖父より三代にわたり山車の保存、囃子(はやし)の伝承、後継者育成に尽力。87年本庄市文化財保護審議委員。
小川 博久氏
【装束着付け指導】
1943年生。東京都杉並区。能楽シテ方観世流の家に生まれ、武田四郎、武田太加志に師事し、同流シテ方となる。86年日本能楽会会員。重要無形文化財保持者(総合認定)。国内ほかウィーンオペラ座公演など、優美端麗な芸で能楽の海外紹介に功績。
「人形胴殻和紙表具」…山崎 智也様(本庄市本町)
「人形胴殻漆加工」…斉藤漆工芸様(神奈川県箱根町)
「最上段には文殊菩薩の浄土にいる獅子の雄壮な姿があります。
装束の文様は稲妻に丸龍・雲気・唐草等全て万物創造の元である気の思想に基づき、人間にとって欠く事の出来ない自然界と神々の世界を具象化しています。
稲妻は自然界の大いなる力で、特に農耕に欠く事の出来ない水を呼ぶ象徴であり、雲気も天の恵みをもたらすものです。
これらは文武両道の修行をし、心を養った武家の研ぎ澄まされた精神性が華やかに活きています。
『いざいざ花を眺めん。いざいざ花を眺めん。』と仰ぎ見る峨々たる巌の上に牡丹が咲き乱れる中、獅子が舞い遊ぶ極楽浄土の世界を存分にお楽しみいただく事を願って居ります。」
『いざいざ花を眺めん石橋』(本町自治会山車胴幕新調記念写真集)より
「石橋」(しゃっきょう)は、能の演目です。
「主人公は大江定基が出家した後の姿である「寂昭法師」。寂照は中国山西省の清涼山(せいりょうざん)にやって来ました。そこで、有名な石橋を渡ろうとしていたところ、童子が現れます。
童子がいうには、「橋の向こうは、文殊菩薩の住む浄土であり、並みの修行をしたものでは渡れない。菩薩の迎えがあるまでしばらく待つように教えられる。
しばらく待つと、「文殊菩薩の化身」である獅子が現れ、紅白の牡丹に戯れ華麗な獅子舞を舞って、寂昭を菩薩の浄土へと導く。」
本町の山車の胴幕には「牡丹」の花と「獅子」が描かれています。
山口先生の制作された胴幕は、「石橋」のストーリーにそって胴幕を制作された奥深い作品であることがわかります。
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※「石橋」は一日の催し物をしめくくる、祝福の能です。
※「石橋」は歌舞伎にも取り入られ、「石橋物」と呼ばれます。石橋物の中には、「連獅子(れんじし)」があり、連獅子には、赤獅子(子)と白獅子(親)が登場します。昭和55年(1980年)本町より分町独立した南本町の人形は、「連獅子」で、赤い髪の色(子)をしているのに対して、本町の人形は白い髪の色(親)をしています。
南本町の山車「連獅子」をとおして、本町と南本町の関係性をうかがい知ることもできます。
能「石橋」のダイジェスト版(日本通TV様作成)
獅子の化身である「石橋」の主人公は「厚板・鱗に唐草華紋文様」の装束に身を包んでいます。
(「法被・稲妻に丸龍文様 白地」の中での丸龍)
(正面)
台座上段の 正面の胴幕は、「緑・白・赤・黄・紫」5色の揚幕と、地模様に「牡丹の花」が飾られています。
山口先生は、5色の揚幕について次のように述べています。
「日本には中国から学んだ「五色の繒(きぬ)」の思想があり、陰陽五行説とは異なるものです。
五色の絹を大きな石の上にかければ求める事が必ず叶えられると昔から信じられて居り、日本の古い神社では神殿に五色の絹が揚げられ、今日までもその信仰が生きています。」(本町自治会山車胴幕新調記念写真集『いざいざ花を眺めん石橋』より)
(正面から向かって左右)
(背後)
聖獣神鳥(「鳳凰」「龍」「亀」「獅子」「麒麟」)を三方に配することで、あらゆる禍から山車と山車に関わる人たちのことを守ろうとしてくれています。
山口先生は次のように述べています。
「稲妻と釘抜の文様には、自然界の力と人々の痛みを和らげあらゆる苦悩を取り除く願いが込められて居ります。」
山車の後部には、山口先生に新調していただいた胴幕を記念して墨書で作られた木札があり、以下のように記されています。
「石橋人形装束新調 平成十六年九月吉日製作
飾り幕新調 胴幕八張・水引幕一張・腰幕一張
特打五毛金箔製造協力 金沢市株式会社今井金箔
平成十九年九月吉日製作
山口能装束研究所長
浅井能楽資料館長 山口 憲」
※胴幕類の写真は、本町自治会山車胴幕新調記念写真集『いざいざ花を眺めん石橋』より抜粋させていただきました。
(『北関東おまつりinfo』チャンネルより)
令和元年(2019年)5月1日、本庄市役所駐車場にて、新天皇陛下の即位と新しい時代の始まりを共に祝う目的で「平成から令和へ 改元奉祝(かいげんほうしゅく)の集い」が開催されました。
記念イベントでは、本庄祭りの山車10基とこだま夏祭りの喧嘩御輿4基が集結しました。御輿の組み合いの後、10基の山車の巡行が行われました。
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