戦後の本庄を元気づけた「麓原会(ろくげんかい)」と「本庄文学座」について

 

 

中村 民夫先生
中村 民夫先生

 

 

戦後本庄を活気づけた「麓原会(ろくげんかい)」

 

【麓原会(ろくげんかい)】

◆戦後の本庄を元気づけた絵画団体(1945年発足)

◆「麓原展」は本庄市で開催される一般公募の展覧会(1946年第1回麓原展)

  


 

2020年11月17日(火)、画家の中村 民夫先生が戸谷八商店に来てくださいました。

中村先生は、「麓原会(ろくげんかい)」で現在も活躍されていらっしゃる本庄を代表する画家です。

 

「麓原会」は、戦後まもなく、古川弘先生を中心として、堀英治先生山田鶴佐久先生金井邦松先生たちによって発足されました。敗戦による社会混乱の中で意気消沈していた若者たちが、絵画を通して元気を取り戻そう、地域に文化の灯をともそうという志で始めたのがその発端とのことです。

 

 

【麓原展について】

麓原会は、毎年11月3日の文化の日を中心に、市立西小学校体育館において一般公募の絵画展「麓原展」を開催しています。市内また周辺地域一円から、多い時には150もの出品があります。展示は「麓原会員」「会友」「一般」に分けられています。  

※麓原展につきましては本庄市長のコラム「麓原会をご存じですか?」を参照させていただきました。

 

 

第71回麓原展(2019年11月2日~4日開催)
第71回麓原展(2019年11月2日~4日開催)

 

 

14歳で堀英治氏に師事された中村先生もまた、絵画を通して戦後の本庄を元気づけてこられました。

 

中村先生は、1963年(昭和38年)の「第1回中村民夫個展」以降、熊谷・高崎・本庄・伊勢崎の各市において様々な個展を開催。2019年8月には、高崎市のYOU HALLで、「2019 中村民夫個展~自画像のさらなる展開」を開催されました。

 

※中村先生の画歴等についてはこちらをご覧ください。

 

中村民夫個展(YOU HALLにて 2019年) Ⓒhttps://suisuije1btc.blog.ss-blog.jp/2019-08-30
中村民夫個展(YOU HALLにて 2019年) Ⓒhttps://suisuije1btc.blog.ss-blog.jp/2019-08-30

地元(本庄)の画家たちによる天井画作成

 

 

◆阿夫利天神社 社殿の天井画(本庄市)

 

 

本庄の画家の方たちによって描かれた阿夫利天神社の天井画

 

 

阿夫利天神社社殿の天井画は、中村先生ご自身と本庄の画家の方々によって描かれています。

 

本庄では代々、地元本庄の画家によって神社の天井画を描くという習わしがあるというお話を中村先生よりお聞きしました。

このような風習は、多くの文人を生み出した中山道「本庄宿」ならではの伝統だと思います。

 

 

中山道「本庄宿」は、小倉紅於や武正南盧、神岡竹嶼、瀬山柳所、諸井弱泉などの多くの文人を輩出しました。

 

俳諧の分野でも、3代目戸谷半兵衛(戸谷双烏)、久米逸淵(くめいつえん)など多くの俳人が活躍し、本庄宿は全国有数の俳諧隆盛地でした。

旅籠「小倉屋」の主人小倉紅於は久米逸淵門の俳人で、邸宅「小倉山房」に本庄宿を往来する多くの文人墨客を招いていました。

 

安養院境内にある「小倉山墓碑軍」本庄市指定文化財

本庄宿の旅籠の主・小倉紅於が、交遊のあった渡辺崋山、千代女、谷文晁、池大河などの句や書を石碑として、後世に残しました。

 

 


◆金鑚神社(本庄市千代田)神輿殿の天井画

「玉水双龍」(中村民夫先生作)
「玉水双龍」(中村民夫先生作)

 

 

「四神図」(東「青龍」・南「朱雀」・西「白虎」・北「玄武」)中村民夫先生作

 

 

◆金鑚神社 幣殿(へいでん)の天井画

「本庄市の文化財~散策ガイドブック~」(本庄市教育委員会)より
「本庄市の文化財~散策ガイドブック~」(本庄市教育委員会)より

金鑚神社幣殿の格天井(ごうでんじょう)には、地元本庄宿の画家:武正南盧(たけまさなんろ)、小倉紅於(おぐらこうお)による天井画(花鳥画)が奉納されています。

 

 


麓原会とともに戦後本庄を元気づけた「本庄文学座」

 

【本庄文学座】 

■昭和22年(1947年)旗挙げ公演「父帰る」が第二常磐座(照若町)にて行われる

当時の有力メンバー:塩原圭次郎氏、五州園主人、萩原順氏、飯野利衛氏、塩原東海男氏

 

■昭和30年代後半に一時衰退

 

■昭和62年(1987年)本庄文学座が復活し「王将」が再演される

有力メンバー:飯野利衛氏、小林平七氏、高橋康文氏、清水正一氏

 

■本庄文学座のパンフレットは中村民夫先生が作成された

 

※参考文献「本庄のむかし」(柴崎起三雄著)より

 

 


◆本庄文学座のメンバー 清水 正一氏

 

清水正一氏は、戸谷八商店のご近所さんで、小さい頃から大変お世話になっている方です。先日おうかがいしましたら、昭和62年(1987年)の「本庄文学座」復活講演の際にメンバーとして「王将」を演じられたと教えてくださいました。

 

※群読劇『塙保己一物語』のお話があった際も、清水さんが演じられるのならということで、ご友人であり、東京の演劇会で多数の実績を残されている演出家の志村智雄氏が演出をなさってくださったとのことです。

(群読劇『塙保己一物語』については下記に記させていただきました。)

 

本町自治会長の清水正一氏

(※2018年7月の本庄祇園祭り・戸谷八商店前にて撮影)

 

 

本町八坂神社への四神旗(しじんき)奉納式

 

金鑚神社の中山宮司様が式を執り行ってくださいました。

清水正一氏は前列に座っておられます。

(清水氏は、本町の祭りの時も中心になって面倒を見てくださっています。)

 

 

新しく奉納された本町の四神旗(しじんき)

 

※四神旗は、「清水正一様」「八木建設様」「本庄ケーブルテレビ様」「戸谷八商店」によって奉納されました。


◆本庄文学座のパンフレット(中村民夫先生作)

「本庄のむかし(P265)」(柴崎起三雄著)より

 

 

「麓原会(ろくげんかい)」の他に、戦後の本庄の文化面から復興させたのは、「本庄文学座」でした。

テレビ時代の到来によって一時衰退しますが、昭和62年、本庄文化会館で『王将』が再演されました。

 

「本庄文学座」のパンフレットの作成されたのが中村先生でした。

学校の先生仲間である飯野利衛先生に頼まれ、中村先生がパンフレットを描くようになったという経緯を教えていただきました。

 

本庄では最近でも、2016年から2018年の3回にわたって群読劇「塙保己一物語」が上演されました。

(塙保己一物語実行委員会会長:竹並万吉氏、脚本:根岸久氏、潤色・演出:志村智雄氏

塙 保己一(はなわ ほきいち)翁は、本庄市児玉町保木野生まれで埼玉三偉人の一人です。

ヘレンケラーが生きる心の支えとした人物でもあります。

※ヘレンケラーと塙保己一翁のエピソードについては以下のホームページをご覧ください。

■温故学会ホームページ

■埼玉県ホームページ

 

この群読劇は、市民による手作り劇で、本庄文学座で活躍されていた方も参加されていました。

 

本庄でいまも演劇が盛んなのは、戦後本庄を元気づけようという高い志で立ち上がった「本庄文学座」の精神が受け継がれているからだと思いました。 

 

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中村先生からは、上記の他に、保存されている川の資料や、現在取り組まれていらっしゃる絵画についてのお話をうかがいました。中村先生は、本庄弁や本庄宿の一番いいところを身をもって今に伝えてくださっている貴重な世代の方です。

 

貴重なお話をありがとうございました!!