尾高浩羽(おだか ひろは)先生の作品がフランスのアート誌『République des Arts(レピュブリック・デザール(第2号)』に掲載されました。

芸術文化勲章を受勲されたフランソワーズ・イカールさんが評論。尾高浩羽先生の作品が国際舞台で輝いています!~

フランスのアート誌『République des Arts(Numéro2)』表紙
フランスのアート誌『République des Arts(Numéro2)』表紙
フランスのアート誌『République des Arts(Numéro2)』尾高浩羽先生の6作品と、フランソワーズ・イカールさんによる評論が掲載されているページ
フランスのアート誌『République des Arts(Numéro2)』尾高浩羽先生の6作品と、フランソワーズ・イカールさんによる評論が掲載されているページ

尾高浩羽先生の作品6点が、フランスの著名なアート誌『République des Arts(レピュブリック・デザール(第2号)』に掲載されました!

このアート誌は、パリの各書店やキオスク、美術館、博物館、アート関連施設で販売・配本されています。

(※フランスのみで販売・配本)

 

【販売・配本場所の一例】

◆ユネスコ本部エントランス、および、ユネスコ書店

◆ジュンク堂パリ(パレ・ロワイヤル)

◆キオスク(シャンゼリゼや、オペラ地区、ワグラム通り、フランクリン・ルーズベルト通り、ボン・マルシェ百貨店)

◆パリの巨大なアート拠点 パレ・ド・トーキョー


フランソワーズ・イカール(Françoise Icart)さん ※『République des Arts Numéro2』より
フランソワーズ・イカール(Françoise Icart)さん ※『République des Arts Numéro2』より

尾高浩羽先生の作品の評論は、フランスで芸術文化勲章を受勲されたフランソワーズ・イカール(Françoise Icart)さんによって執筆されました。

フランソワーズ・イカールさんはフランス芸術文化界で高い評価を得ていらっしゃる方です。2021年には芸術文化勲章を受勲されています。

 

◆フランソワーズ・イカール(Françoise Icart)さんプロフィール

フランソワーズ・イカールさんは、2021年に芸術文化勲章を受勲されました。彼女は、芸術振興協会ARTECの会長や、ヨーロッパと世界の女性アーティスト市民の会アルトゥエルスグループの会長を務めるなど、多くの芸術関連組織で重要な役割を果たしています。また、ラバーゼ事務局長、フランス芸術記者組合会員、職業芸術家組合会員、芸術・科学・文学会員、SMLH(レジオン・ドヌール勲章会員協会)準会員、ヨーロッパ芸術科学文学アカデミー(AESAL)会員としても活躍。

 

イカールさんは、トゥール大学を卒業後、ルーヴル美術館の肖像画家であった父のもとでデッサンとパステルを学びました。教師としてのキャリアをスタートさせ、BTS(上級技術者免状)のコミュニケーションと心理社会学、創造性を専門に指導。さらに、ラジオ番組の司会やテレビ出演など、多くのメディアでもその才能を発揮されています。

 


◆『République des Arts』に掲載された尾高浩羽先生の6作品

『République des Arts (Numéro2)』に掲載された尾高浩羽先生の6作品
『République des Arts (Numéro2)』に掲載された尾高浩羽先生の6作品

 

Artistes à l'encre et Calligraphie Japonaise

Entre l'Illusion et Réalité

HIROHA ODAKA Peinture à l'Encre de Chine

 

«Prolifération des Jardins au microscope de verre»

 

Le travail d'Hiroha Odaka frappe immédiatement par son Leaspect étrange. Elle nous fait entrer dans des mondes Imaginaires où les objets et les plantes volent leur apparence ou leur matière transformées. Ainsi «Prolifération des Jardins au microscope de verre»  est une sorte de paysage mental  des traits gris circulent sur un fond jaune. On perçoit tout d'abord ce qui semble un travail d'abstraction, puis le titre nous amène à regarder la forme qui se détache du fond pour identifier un champignon, à supprimer; pourquoi champignon de verre? Les traits dessinant le chapeau du champignon se rejoignent pour former une sorte de toile, des éclats de verre sans doute. Que le végétal et le minéral se mélangent ainsi, nous guide hors du monde connu et rationnel, vers un lieu onirique, celui de l'univers d'Hiroha Odaka. Un univers où la couleur n'est quère présente et où les formes nous guident vers des contenus énigmatiques. A lire les titres des diverses œuvres qu'elle présente, nous voyons que le thème de sa création repose sur la référence au verre. Le verre est transparent, permet de laisser passer la clarté, c'est un matériau dur mais aussi fragile, carcassant. Sa transparence en fait symboliquement l'évocation de la pureté et la vérité. On peut ici l'associer à la fragilité de la vie, celle des plantes en premier, et à la nécessité de la protéger. «Prolifération de la grotte de verre», «grotte de verre »et «Forêt de verre» sont autant de dessins à l'encre en noir et blanc qui nous parlent de lieux énigmatiques emplis de verre, faut-il casser les multiples parois de verre pour entrer dans la grotte? Comme le chercheur qui détruit les illusions pour parvenir au vrai. Ou agir pour protéger la biodiversité, en danger, comme le rappelle la «Forêt de verre».

La tolle intitulée «Jardin au microscope »nous intrigue car si nous y voyons des branchages et des sortes de plantes, pas un champignon n'apparait : cela voudrait-il nous mettre en garde, les Jardins au microscope risquent-ils de disparaître ? Où faut-il voir une transposition du champignon en autre chose dans un pays imaginaire? «Jardin de spores» nous rassure sur le devenir des hommes et des plantes, il y a encore des jardins où cultiver les fleurs. Le traitement de ce dernier dessin est rehaussé d'un peu de rouge : celui de l'espoir? 

 


(日本語訳)※戸谷充宏作成

 

日本の水墨画家

幻想と現実の間

尾高 浩羽 水墨画

 

「ガラスの顕微鏡で見た庭園の増殖」(※左ページの作品名)

 

尾高浩羽さんの作品は、その独特なスタイルによって一瞬にして目を引きます。

彼女は私たちを想像の世界に導き、物体や植物がその姿や物質を変える場所に連れて行ってくれます。

『ガラスの顕微鏡で見た庭園の増殖』は、一種の精神的な風景であり、灰色の線が黄色い背景の上を巡っています。最初は抽象的な作品のように見えますが、タイトルが背景から浮かび上がる形に目を向けさせ、それがキノコであることを識別します。なぜ「ガラスのキノコ」なのでしょうか?

キノコの傘を形成する線が集まって一種の蜘蛛の巣を形成し、おそらくガラスの破片です。

植物と鉱物がこのように混ざり合うことで、私たちは日常知られた合理的な世界から離れ、尾高浩羽さんの宇宙という夢のようなな場所へと導かれます。色彩がほとんど存在せず、形が私たちを謎めいた内容へと導く世界。

彼女が展示する作品のタイトルを読んでいると、彼女の創造のテーマはガラスへの言及に基づいていることがわかります。ガラスは透明で、光を通すことができ、硬いが同時に壊れやすく、割れやすい素材です。

その透明性は象徴的に、純粋さと真実を喚起します。ガラスの透明性は、生命のはかなさ(特に植物のはかなさ)とそれを保護する必要性とに関連付けることができます。『ガラスの洞窟の増殖』、『ガラスの洞窟』、そして『ガラスの森』という作品は、全て白黒のインクで描かれた絵画で、私たちにガラスで満たされた謎めいた場所について語りかけます。

洞窟に入るために、ガラスの多くの壁を壊さなければならないのでしょうか? 真実に到達するために幻想を取り除く研究者のように。あるいは、『ガラスの森』が思い出させるように、危機にある生物多様性を保護するために行動しますか?

『顕微鏡下の庭』というタイトルの作品が大きな話題を呼んでいます。そこには枝や植物のようなものが見えますが、キノコは一つも見当たりません。これは私たちに警告を与えるためのものでしょうか。または、キノコが想像の国で別のものに置き換えられているのを見るべきでしょうか?『胞子の庭』は、私たちの未来と植物の未来を安心させてくれます。花を育てる場所である庭があります。この最後の絵には、わずかに赤が加えられました。それは希望の象徴でしょうか?


Profil

 

Membre du conseil d'administration de la Modern Ink Painting Association. Membre de Sesshu-kai et Sumibi-kai Zenbokuren. Prix international Mainichi Shimbun, Prix du président de la préfecture de Saitama, Prix du maire de Hofu de la préfecture de Yamaguchi. Nombreuses autres récompenses: Singapour, France, Espagne, Canada, Belgique, Pays-Bas, Taiwan, nombreuses expositions personnelles et collectives. Elle s'est familiarisée avec le dessin dès son plus jeune âge et a commencé à travailler à l'aquarelle et au dessin à la plume avant de passer à la peinture à l'encre. Elle se concentre sur les peintures à l'encre qui utilisent des techniques traditionnelles et des lignes de calligraphie, et utilise de nouveaux matériaux pour créer des paysages imaginaires. Elle est également passionnée par la transmission à la génération future. Elle est l'arrière-arrière-petite-fille des Junchu Odaka et Eiichi Shibusawa.

 

<Droite>HIROHA ODAKA <Gauche>Sumiko Samejima, Petit-fils d'Eiichi Shibusawa

 

1. Prolifération de la grotte de verre

2. Grotte de verre

3. Forêt de verre

4. Jardin au microscope

5. Jardin de spores

 

・・・・・・・

 

(尾高浩羽先生 プロフィール)

 

現代水墨画協会、評議員。 雪舟国際芸術協会会員、墨美会、全日本中国墨画連盟会員。 毎日新聞社国際賞、埼玉県知事賞、山口県防府市長賞。 その他多数の賞を受賞: シンガポール、フランス、スペイン、カナダ、ベルギー、オランダ、台湾、多数の個展およびグループ展。 彼女は幼い頃から絵を描くことに親しみ、水彩画やペン画を描き始め、その後水墨画に進みました。 伝統的な技法と書の線を用いた水墨画を中心に、新しい素材を用いて想像力豊かな風景を表現しています。 また、次世代への継承にも情熱を注いでいます。 尾高惇忠と渋沢栄一翁の玄孫に当たる。

 

〈右〉尾高浩羽先生/〈左〉渋沢栄一翁の孫・鮫島純子さん

 

 1. ガラスの洞窟の増殖

 2. ガラスの洞窟

 3. ガラスの森

 4. 顕微鏡下の庭園

 5. 胞子の庭

 

(※1~5の作品名は、右ページの5作品の名称です。)

 


「評論家プロフィール」・「目次」

フランスのアート誌『République des Arts (Numéro2)』評論執筆者プロフィールと目次
フランスのアート誌『République des Arts (Numéro2)』評論執筆者プロフィールと目次

「索引」(インデックス)

フランスのアート誌『République des Arts (Numéro2)』インデックス
フランスのアート誌『République des Arts (Numéro2)』インデックス

◆尾高浩羽(おだか ひろは)先生

(左)渋沢栄一翁のお孫様・鮫島純子さん /(右)渋沢栄一翁と尾高惇忠翁の玄孫様・尾高浩羽先生
(左)渋沢栄一翁のお孫様・鮫島純子さん /(右)渋沢栄一翁と尾高惇忠翁の玄孫様・尾高浩羽先生

双龍墨芸術文化振興会 代表

羽龍会 会長

Studio Hiroha 主宰

(※尾高浩羽先生オフィシャルサイトより)

現代水墨画協会、墨美会、全日本中国墨画連盟、雪舟国際芸術協会会員、日本中国文化交流賞、毎日新聞社国際賞。日美展作家。他受賞多数。

スイス、イタリア、香港アートフェア。仏・西・中・インドネシア他国内外グループ展多数。

 

高祖父 尾高惇忠、渋沢栄一の書画の流れを曾祖父 尾高次郎、祖父 尾高豊作、父 尾高陽一らの遺作と共に尾高三代展定期開催。(銀座ギャラリー椿 ・ 広尾加藤ギャラリー ・下北沢スマートシップ ・代々木Studio Hiroha)

書の線を用いる伝統技法の次世代への継承を志し、光やガラス等新しいものを心象画として描く。近年菌類などの抽象画、コラージュにも意欲を見せる。 

双龍墨芸術文化振興会を組織し会長を務める。次世代に向け日本の伝統文化の継承に努めその魅力の国内外発信を目的とする。

2021年6月埼玉県深谷市JR深谷駅構内市民ギャラリーに於書画展開催好評を得る。

 

 

●尾高浩羽先生の水墨画・水彩画等の教室

【STUDIO HIROHA(スタジオ ヒロハ)】

※詳細はこちらへ

 

尾高浩羽先生のオフィシャルサイト

「スタジオヒロハ」Instagram

 

1960 東京都生まれ

1983 聖心女子大学国文科 卒業

1984-1992 カナダケベック州に滞在

1984-1990 Helmut Gerth氏(透明水彩)に師事

1987-1990 Fay Sproule氏、Brigitte Schreyer氏、Wendy Whitemore氏にそれぞれ師事

1998-2008 菊水黄羽(内山雨海門下 水墨画))に師事

 

[グループ展]

2003 第1回三代展 ギャラリ―椿(京橋)

2007 第3回三代展 加藤ギャラリー

2003 松濤美術館公募展 入選「回廊」(水墨画)

2004 黄羽会 墨画展 アートサロンアクロス

2008 黄羽会 墨画展田中ギャラリー(銀座)

 

[個展]

1989 THE CREDIT VALLEYHOSPITAL(カナダ)

1991 公立図書館 Medowvale(カナダ)

1991 公立図書館 Water roo(カナダ)

2010 個展(シンガポール)

2014 個展(インドネシア)

※「個展なび」HPより


【尾高浩羽先生の作品について】

 

◆伝統技法の継承と革新

尾高浩羽先生は、「透明のモチーフ」が墨の自然の現象で描けてしまう水墨の奥深さと魅力に惹かれ、ガラスなど墨の濃淡で透明なモチーフを表現されています。書の筆法を生かす「書画一体」の理念を大切にしながら、なぞり書きや乾いてからの描き足しを避けるこだわりを持たれています。近年では、伝統的な技法を継承しつつ、菌類などの「抽象画」やコラージュにも積極的に挑戦し、海外からも注目を集めています。

 

◆次世代への継承

尾高先生は、水墨画という書の線を用いる伝統技法を次世代へ継承することを強く志しておられます。先生は、自身の作品制作だけでなく、教える活動を通じて次世代にその技法や精神を伝えようとなさっています。古くから伝わる日本の伝統的な美意識と、伝統技法を未来につなげようと尽力なさっています。

 

◆「気」との共鳴

尾高先生は、作品には作家の一筆入魂の「気」が込められており、これが見る人に「気が出る」、「気が伝わる」、そしてその見る人の中にある「気と呼応する」という経験を与えると考えています。

先生は、作品を通じて、見る人との対話を通じて新たな気づきを生み出すことを大切になさっています。

 

◆「見立て文化」と「水墨画の伝統技法」の普及

尾高先生は、日本の「見立て」文化を非常に大切にされています。

「見立て」文化とは、あるものを別のものに見立てる日本独特の美意識で、新鮮で趣のある試みを加え、想像力と創造力を引き出す文化です。日本文化の根底には「見立て」が息づいています。

たとえば、「枯山水の庭園」では、水を用いずに白砂で海を見立て、石で島や山を見立てています。「俳句」では短い詩の中に自然の一瞬を捉えます。「茶道」では、千利休は、日常の生活用品(水筒として使われていた瓢箪や、船に乗るために出入りする潜り口など)を茶道具として取り入れることで茶道の世界を豊かにしました。

 「生花」では季節の花を活けて自然の風情を表現します。 「伝統的な日本建築」では、障子や木の柱を使用して、風や光を取り入れ、家全体が自然と一体化するように工夫されています。

また、割れた茶碗を金継ぎすることを美ととらえたり、朽ちた家や風化した石、苔むした庭など、時間の経過とともに変化した自然の姿にも美を見出します。(朽ちた建物や庭の姿が美しいと感じるのは、その変化が無常の象徴であり、空のはたらきと深い関係にあるからです。)

尾高浩羽先生の芸術にもまた、この「見立て」の精神が流れています。

先生は、偶然に生まれる現象を生かすことが芸術の真髄であるととらえ、墨の濃淡や筆の動き、紙の質感、墨のすり方などによって意図せずに生まれた偶然の要素(模様や、色彩、滲みなど)を積極的に作品に取り入れていらっしゃいます。

 

◆「意連(いれん)」について

尾高先生は、水墨画でも、生花でも、「出てきて見えるものは、その見えない部分の行間なり、空(くう)なり、スペースなりを表現する」、それが日本の文化の本質的な共通点であると述べられています。※こちらへ

水墨画においても、筆が紙に触れていない空を舞っている時も含め、すべてが『意連(いれん)』としてつながっていると捉えます。先生の作品は、見える形だけでなく、その背後にある空(くう)やスペースとの連関として表現されています。

 

◆新しい題材への挑戦

尾高先生は、水墨画の伝統的な技法を継承しながら、新しい題材にも積極的に挑戦なさっています。最近では、ガラスの表現にも力を注がれており、墨の濃淡を利用して透明なモチーフを描くことで新たな表現の可能性を探究なさっており、海外からも注目を集めています。

 

※尾高浩羽先生について、よろしければこちらの記事もご覧ください。


◆尾高浩羽先生の展覧会の情報など

【2024年7月1日(月)~7月6日(土)】パリドフランス展(第21階記念展

「パリドフランス展 《第21回記念展》」
「パリドフランス展 《第21回記念展》」
「パリドフランス展 《第21回記念展》」会場案内図
「パリドフランス展 《第21回記念展》」会場案内図

斉藤佳扇さんによる「尾高浩羽先生の作品・対話型芸術鑑賞会」のお知らせ
斉藤佳扇さんによる「尾高浩羽先生の作品・対話型芸術鑑賞会」のお知らせ

7月1日(月)には、「パリドフランス展」会場の2階で、対話型芸術鑑賞ファシリテーターの斉藤佳扇(さいとう かせん)さんによる、尾高浩羽先生の水墨画の「対話型芸術鑑賞会」が行われます。

 

◆7月1日(月)①11:30〜12:00/②14:00〜14:30

◆「パリドフランス展」東京交通会館パールルーム2階にて

 

先着6名様無料予約受付中

 

ファシリテーター:斉藤佳扇様

アーティスト作品:尾髙浩羽先生

 

【斉藤佳扇(さいとう かせん)様】

対話型芸術鑑賞ファシリテーター・コーディネーター・鴻巣市文化芸術振興審議会委員・鴻巣市文化功労表彰受彰・学芸員・広山流いけばな講師

●Instagram:https://www.instagram.com/saito.kasen/

●アート鑑賞講座予約はこちらへ:https://coubic.com/machikatsu/1609199#pageContent

斉藤佳扇(さいとう かせん)さんの「対話型芸術鑑賞」のパンフレット
斉藤佳扇(さいとう かせん)さんの「対話型芸術鑑賞」のパンフレット

【2024年7月3日(水)~7月8日(月)】D-art,ART2024(大丸札幌店)

「D-art,ART2024」大丸札幌店にて開催 ※SMART SHIP GALLERY様パンフレットより
「D-art,ART2024」大丸札幌店にて開催 ※SMART SHIP GALLERY様パンフレットより
「D-art,ART2024」大丸札幌店にて開催 ※SMART SHIP GALLERY様パンフレットに加筆
「D-art,ART2024」大丸札幌店にて開催 ※SMART SHIP GALLERY様パンフレットに加筆

【2024年8月8日(月)~8月17日(土)】第7回 日美展

「第7回 日美展」
「第7回 日美展」
「第7回 日美展」会場案内図
「第7回 日美展」会場案内図


※以下に、尾高浩羽先生の作品の魅力について、私自身(戸谷充宏)が感じたことも記載させていただきます。

お読みいただけたら幸いです。

 

空の美しさとダイナミズムを映し出すガラスのキノコ

 

「不可視の空間で生命を統一している力の原理をあきらかにする、ある種の生気論に、インスピレーションをあたえるような植物。それは、粘菌のほかには考えられない。植物(または菌)でありながら、原生動物そっくりの活動をおこなう粘菌は、熊楠にとっては、生命の本質を沈思するのにうってつけの、まさに形而上学のための生物であった。(P263)」(中沢新一『森のバロック』講談社学術文庫 )

 

尾高浩羽先生は、書の線を生かしながら、光やガラスなどの「透明なモチーフ」や、菌類などの抽象画、またコラージュにも取り組まれています。先生は伝統的な日本の水墨画の技法を継承しつつ、墨の濃淡や筆の動き、その日の湿度、紙の質感、墨のすり方などによって意図せずに生まれた墨の自然な現象や、偶然の要素を積極的に作品に取り入れています。これにより、先生の作品は西洋のアートの影響や現代的なアプローチと融合し、両文化の橋渡しをしています。

 

尾高浩羽先生の作品『ガラスの顕微鏡で見た庭園の増殖』は、その透明な美しさとダイナミズムで、深い感銘を受けました。ガラスという素材が持つ壊れやすさや透明さは、ものごとのはかなさや、移ろいゆく性質を象徴しています。ガラスの素材が象徴するはかなさと透明さは、日本の伝統的な「空(くう)」や「無常」の思想と共鳴します。

 

空の思想は、全ての存在が「縁のネットワーク」によって互いに影響し合い、独立した実体を持たないという考え方です。無常は、すべての存在が常に変化し、永遠に続くことなく流転しているという考え方です。

空の思想や無常観は、日本の伝統文化(能、連歌、茶の湯、生花、作庭、陶芸、日本建築、着物の柄など)において、日本文化の美や深遠さを形成する重要な要素となってきました。

 

キノコは自然界において「生命の循環」や「再生」を象徴する微細でダイナミックな存在です。森林の生態系において、キノコは微細な領域で枯れた木や死んだ生物を分解する重要な役割を果たします。この分解作用により、死んだ生物が再び土壌の栄養となり、新たな生命が育まれる循環が生まれます。キノコの菌糸は、土壌の中で無数の細い糸のように広がり森の地下のネットワークを形成し、植物と共生しながら栄養素を分け合い、生態系全体を支えます。キノコの微小な胞子は風に乗って広範囲に散布され、新たな生命を育む力を持っています。

 

尾高浩羽先生のガラスのキノコは、ガラスという表現によって、キノコが透明感を持った美しさと同時に無常のはかなさを感じさせます。しかし、そのはかなさの中にこそ真の美しさと安心感があることを教えてくれます。

 

先生のガラスのキノコはまた、キノコの微細な領域にまで空のはたらきが及んでいることを感じさせます。それはまた、私たちの内側にも空のはたらきが浸透していることを示しており、それによって私たちは自然との一体感や安心感を得ることができます。

 

尾高浩羽先生の作品は、墨によるガラスの技法を用いることによって、存在のすみずみにまで浸透している静謐で活気あふれる空のはたらきや、自然との一体感を感じさせてくれました。尾高先生の作品はまさに日本の美の結晶であり、また西欧と日本の美の架け橋の象徴でもあります。

 

『République des Arts (Numéro2)』に掲載された尾高浩羽先生の6作品
『République des Arts (Numéro2)』に掲載された尾高浩羽先生の6作品

 

尾高浩羽先生このたび、先生の6作品がフランスのアート誌『République des Arts(レピュブリック・デザール 第2号)』に掲載されたことを心よりお祝い申し上げます。フランスでオリンピックが開催されるこの特別な年に、先生の作品が現地のアート誌に紹介されることは、日本の伝統文化が国際的に広がる素晴らしい機会だと感じています。オリンピックの年にフランスで多くの人々が集まる中、先生の水墨画の深さと日本文化の美の表現が、多くの方々に届き共感が広がることを期待しています。

 

尾高浩羽先生の高祖父・渋沢栄一翁は、1840年に生まれ、日本の近代経済の父として知られています。

今年の2024年7月3日は、渋沢栄一翁の肖像が描かれた「新一万円札」が発行される特別な日です。

渋沢栄一翁は、「株式会社」という組織や、「銀行」という金融システム、「鉄道」という物流システムを日本に根付かせて、「民間力」を高め、教育機関の創設にも携わり、全国にわたって近代日本の礎を築かれた日本の偉人です。

 

その渋沢栄一翁からちょうど120年後の1960年に、栄一翁と尾高惇忠翁の玄孫(やしゃご)である尾高浩羽(おだか ひろは)先生が誕生しました。

 

日本では、12という数字は特別な意味を持ち、干支(えと)として12年周期が一巡することから、区切りの年とされています。(その他にも、月は地球を1年間にほぼ12回転することや、新約聖書の12使徒、仏教の苦しみのもととなる十二縁起、12星座、1ダースは12個、平均律においては1オクターブは12の音で構成されていることなど、12という数字は、多くの文化や宗教で、東西を超えていろんな場所で使われています。)

 

そのため、120年(12×10)という期間は、特別で象徴的な意味を持ちます。

この節目の年に尾高浩羽先生が生まれたことは、渋沢栄一翁の偉業とその歴史的遺産が次の世代にも受け継がれ、さらなる発展を遂げることを暗示しているかのように感じます。

 

尾高浩羽先生の水墨画の作品は、伝統的な水墨画の技法を用いながらも、現代的な感性と創造性を融合させた独自のスタイルで、わたしたちに深い感動を与えてくださいます。先生の作品がこのような著名なアート誌に掲載されることで、先生の作品が、新たな舞台で輝きを放つことになりとても嬉しいです。改めて、心からお祝い申し上げます。

尾高浩羽先生の今後のご活躍を心より応援しています!